<Header>
<Author: 白居易>
<Title: 新樂府 牡丹芳	美天子憂農也>
<Format: 格式不明>
<Year: 2011>
<BookName: 白楽天詩選（上）>
<Translator: 川合康三>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 牡丹芳（ぼたんほう）　天子（てんし）の農（のう）を憂（うれ）らるを美（ほ）むるなり >
<BookPage: 171-341>
<UsedPage: 171>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
牡丹芳，
牡丹芳，
黃金蘂綻紅玉房。
千片赤英霞爛爛，
百枝絳點燈煌煌。
照地初開錦繡段，
當風不結蘭麝囊。
仙人琪樹白無色，
王母桃花小不香。
宿露輕盈泛紫豔，
朝陽照耀生紅光。
紅紫二色間深淺，
向背萬態隨低昂。
映葉多情隱羞面，
臥叢無力含醉妝。
低嬌笑容疑掩口，
凝思怨人如斷腸。
穠姿貴彩信奇絕，
雜卉亂花無比方。
石竹金錢何細碎，
芙蓉芍藥苦尋常。
遂使王公與鄉士，
遊花冠蓋日相望。
庳車輭轝貴公主，
香衫細馬豪家郎。
衛公宅靜閉東院，
西明寺深開北廊。
戲蝶雙舞看人久，
殘鶯一聲春日長。
共愁日照芳難駐，
仍張帷幕垂陰涼。
花開花落二十日，
一城之人皆若狂。
三代以還文勝質，
人心重華不重實。
重華直至牡丹芳，
其來有漸非今日。
元和天子憂農桑，
卹下動天天降祥。
去歲嘉禾生九穗，
田中寂莫無人至。
今年瑞麥分兩岐，
君心獨喜無人知。
無人知，
可歎息，
我願暫求造化力。
減却牡丹妖豔色，
少迴鄉士愛花心，
同似吾君憂稼穡。
<End Poem>
<Translation>
牡丹の花、牡丹の花、黄金の花しべほころび、紅玉の花房からそっと顔を出す。
千の赤い花びらは彩雲のきらめき。百の枝に咲く赤い花は煌々たる灯。
地を照らし、錦の織物をさっと巻き拡げ、風を受け、蘭麝の匂い袋は口を開く。
仙界の琪樹など白くて色もない。西王母の桃など小さく香りもない。 
夜来の露が紫の艶肌に軽やかに揺れ、朝日を受けて赤い光が放たれる。
赤に紫、二色は濃く淡く混じり合い、背を向け前を向き、上を向き下を向き、思い思いの姿態。
多感な思いを葉に秘めて、恥ずかしげに顔を隠す乙女。酔い痴れて草むらに伏せる、妖艶な粧いの美女。
愛くるしい笑顔でうつむくのは口を隠すためか、人を怨み腸を断つほどに思いを籠める。
艶麗な姿、高貴な輝き、まことに希代絶佳。群がる草も乱れ咲く花も比べるには及ばない。
石竹も金銭花もなんとも小さくみすぼらしく、蓮の花や芍薬とて至って平凡。
ついには王公貴族が、花を愛でんと、日々車を連ねるにぎわいとなった。
低い車やわらかな輿で訪れる高貴な姫君たち。匂いたつ服ですらりとした馬に跨る富豪の子息たち。
衛公の屋敷は静寂に包まれ東のお庭も閉ざし、西明寺の奥庭は北の回廊まで客を迎えいれる。
花に戯れ舞い踊るつがいの蝶、いつまで見ても見飽きぬ見物の客。遅い鶯が一声さえずり、春の日は長い。 
みな心にかけるのは、日差しに照らされては花が保たぬこと。次々と幔幕をめぐらし涼しい日陰を作る。
花が開き、花が散る、その二十日の日々。町じゅうは狂乱の渦に巻き込まれる。
いにしえ三代の聖代ののち、彩あるものが質朴に勝る世となった。
人心は華美に傾き質実を顧みず、華美好みの風潮はこの牡丹狂いを生んだ。それもしだいしだいの傾きで、今日突然のことではない。
元和の天子さまは農耕がおろそかにされるのを憂い、下々を哀れむその御心は天へと通じ、天は瑞祥を垂れ給うた。
去る年はめでたくも一本の稲の茎に九つの穂が生じたが、畑はひっそりと静まり、足を運ぶ者は誰もいない。
今年はめでたくも一本の麦の茎が二つに分かれて実を結んだが、天子一人お喜びで、知る者は誰もいない。
知る者は誰もいない、なんと嘆かわしいことか。
わたしは願う、しばし造物主の力を借りて、牡丹の妖艶な色を褪せさせることを。
貴人の花を愛好する心をいささかでも変えて、わが天子さまの作物を憂うる御心に近づけんことを。
<End Translation>
<Formatted Translation>
牡丹の花、
牡丹の花、
黄金の花しべほころび、紅玉の花房からそっと顔を出す。
千の赤い花びらは彩雲のきらめき。
百の枝に咲く赤い花は煌々たる灯。
地を照らし、錦の織物をさっと巻き拡げ、
風を受け、蘭麝の匂い袋は口を開く。
仙界の琪樹など白くて色もない。
西王母の桃など小さく香りもない。 
夜来の露が紫の艶肌に軽やかに揺れ、
朝日を受けて赤い光が放たれる。
赤に紫、二色は濃く淡く混じり合い、
背を向け前を向き、上を向き下を向き、思い思いの姿態。
多感な思いを葉に秘めて、恥ずかしげに顔を隠す乙女。
酔い痴れて草むらに伏せる、妖艶な粧いの美女。
愛くるしい笑顔でうつむくのは口を隠すためか、
人を怨み腸を断つほどに思いを籠める。
艶麗な姿、高貴な輝き、まことに希代絶佳。
群がる草も乱れ咲く花も比べるには及ばない。
石竹も金銭花もなんとも小さくみすぼらしく、
蓮の花や芍薬とて至って平凡。
ついには王公貴族が、
花を愛でんと、日々車を連ねるにぎわいとなった。
低い車やわらかな輿で訪れる高貴な姫君たち。
匂いたつ服ですらりとした馬に跨る富豪の子息たち。
衛公の屋敷は静寂に包まれ東のお庭も閉ざし、
西明寺の奥庭は北の回廊まで客を迎えいれる。
花に戯れ舞い踊るつがいの蝶、いつまで見ても見飽きぬ見物の客。
遅い鶯が一声さえずり、春の日は長い。 
みな心にかけるのは、日差しに照らされては花が保たぬこと。次々と幔幕をめぐらし涼しい日陰を作る。
花が開き、花が散る、その二十日の日々。
町じゅうは狂乱の渦に巻き込まれる。
いにしえ三代の聖代ののち、彩あるものが質朴に勝る世となった。
人心は華美に傾き質実を顧みず、
華美好みの風潮はこの牡丹狂いを生んだ。
それもしだいしだいの傾きで、今日突然のことではない。
元和の天子さまは農耕がおろそかにされるのを憂い、下々を哀れむその御心は天へと通じ、天は瑞祥を垂れ給うた。
去る年はめでたくも一本の稲の茎に九つの穂が生じたが、
畑はひっそりと静まり、足を運ぶ者は誰もいない。
今年はめでたくも一本の麦の茎が二つに分かれて実を結んだが、天子一人お喜びで、知る者は誰もいない。
知る者は誰もいない、
なんと嘆かわしいことか。
わたしは願う、しばし造物主の力を借りて、
牡丹の妖艶な色を褪せさせることを。
貴人の花を愛好する心をいささかでも変えて、
わが天子さまの作物を憂うる御心に近づけんことを。
<End Formatted Translation>